乾燥かゆみ肌や、粉フキ肌を防ぐ、正しい入浴のコツ

冬になり気温や湿度が下がると気になるのが体の乾燥。
かゆみを伴うことも多く、悩みの種ですよね。

この悩み、毎日の入浴を少し見直すだけで、劇的に良くなることがあります。

まずは乾燥の原因をしっかりと理解して、乾燥を防ぐ入浴のコツをマスターしましょう。

乾燥と肌のバリア機能

特に乾燥しやすい体の部位は、足のスネ部分や手指、足の裏などの皮脂線がなかったり少なかったりする所です。

皮脂線がなかったり少なかったりすると乾燥しやすくなる理由は、肌のバリア機能にあります。

肌のバリア機能とは、紫外線やホコリ、雑菌などの様々な外的刺激から肌を守り、肌が乾燥することを防いでくれる働きのことです。

健常な状態の肌はこのバリア機能で守られています。

肌のバリア機能は【皮脂膜】【角質層】【NMF(天然保湿因子)】【セラミド】の4つの要素で形成されています。

バリア機能の中でも最前線で働く皮脂膜は、皮膚から分泌される皮脂と汗が混ざり合うことで肌を覆う天然の保湿クリームです。
異物の侵入を防ぎ、肌の水分が外部に蒸発してしまわないための膜のような役割を果たします。

もともと皮脂線がなかったり少なかったりする足のスネや手、足の裏は皮脂膜が形成されにくく、皮脂膜で覆われていないため乾燥しやすい部位です。

それ以外の部位でも冬は気温が下がるため皮膚表面の汗の分泌量が下がるため、皮脂が汗と混ざり合わずに皮脂膜がうまく形成されません。

それに加えて湿度も下がることで皮膚の水分や汗が蒸発しやすくなるので、ますます肌のバリア機能を形成する材料がなくなってしまい、乾燥につながります。

皮脂膜がうまく形成されないと、今度は肌の角質層がむき出しになります。

角質層は水分を肌に保持して乾燥を防ぐ役割を果たしていますが、皮脂膜が形成されていない状態の角質は簡単に剥がれてしまいます。

角質が剥がれてしまった肌はゴワゴワと乾燥が進み刺激に敏感になるため、赤みや痒みなどの炎症までつながってしまいます。

体の乾燥は、入浴方法に気をつけるだけでグッと改善されることがあります。
さっそく乾燥肌を改善する入浴のルールを確認してみましょう。

乾燥肌を防ぐ正しい入浴のコツ

乾燥肌を招いているのは、入浴時のケアのしすぎかもしれません。

美容にいいとされる半身浴での長時間の入浴や、体をきれいにするためのボディウォッシュ、きれいなお湯での一番風呂などに乾燥の原因が隠れています。

入浴時のお湯の温度や入浴時間に気をつける

熱いお湯での入浴は肌からセラミドが流れ出し、皮脂が落ちやすくなることで肌の乾燥につながります。

乾燥肌の人の入浴は【35〜40°C程度ぬるめのお湯は15分以内】を目安にすませるようにすると
肌への負担が少なくすみます。

「熱いお風呂じゃないと入った気がしない」という方に朗報なのは、熱いお湯への入浴で生み出される美肌成分、ヒートショックプロテインです。

ヒートショックプロテインは肌細胞を活性化し、肌の修復能力を高めることで肌ダメージからの回復を促してくれるたんぱく質の一種です。

ヒートショックプロテインは41℃程度お湯に10分ほど、汗をしっかりとかくまで温まることで生成されます。

ただし、毎日熱いお湯につかると体が熱に慣れてしまい、ヒートショックプロテインが生成されにくくなってしまいます。
さらには先述した通り皮脂やセラミドが洗い流されやすくもなってしまいます。

ヒートショックプロテインは1度生成されると2〜3日働いてくれるので、毎日熱いお湯へつかる必要はありません。

熱湯好きな人でも【熱いお湯に10分】の入浴は週に2、3回程度にとどめ、他の日は肌の乾燥を招かないようなぬるいお湯での入浴やシャワーで済ませる習慣をつけましょう。

また、半身浴での長風呂から得られる美肌効果はあまり期待できないことも心に留めておきましょう。

半身浴はそもそも心臓が弱かったり心臓に病気を抱えている人が、心臓に負担をかける事なく入浴するための方法です。

汗に含まれる老廃物はごく少量ですし、浴室の暖めが不十分だったりすると逆に体を冷やす事も。

また、1時間や2時間の長時間の入浴はふやけすぎた角質や必要な皮脂、セラミドまでがお湯に流れ出てしまいます。

心臓などに問題なければ全身浴でしっかりと体に圧をかける方が、むくみが取れたり体が温まり血流が良くなったりします。

半身浴はリラックス目的などにはOKですが、乾燥肌には優しくないと心得ましょう。

体の洗いすぎはNG

皮脂や常在菌は肌を乾燥から守ったり、健康な状態に保ったりするために重要な役割を果たしています。

肌の常在菌には様々な種類がありますが、肌の健康維持を担う代表的なものに【表皮ブドウ球菌】があります。

表皮ブドウ球菌は肌の保湿成分を作り出したり悪臭を出す細菌の繁殖を防いだりしてくれる常在菌で、健康な肌には欠かせない大切な役割を担っています。

ボディソープなどに含まれる合成界面活性剤は洗浄力が強く、常在菌そのものや常在菌の餌となる皮脂や角質もすべて洗い流し、肌を無防備な状態にしてしまいます。

体の洗いすぎで皮脂や必要な常在菌がいなくなると悪臭を生む細菌が繁殖し、乾燥だけでなく体臭ががきつくなることも。

ナイロンタオルなどで体を直接ゴシゴシ洗ってしまうと角質が剥がれ、肌細胞を傷つけていることにもなるうえに、NMFという肌の保湿を担う成分がなくなりやすくなる原因にもなります。

ボディウォッシュには様々な種類がありますが、体を洗う時は合成界面活性剤が使われていない石けんがオススメです。
ナイロンタオルやスポンジで体を直接こするのは避け、タオルやスポンジを使って泡立てた泡で優しく撫でるように洗いましょう

入浴時のお湯へひと工夫を

一見、清潔で肌に良さそうな一番風呂ですが、水道水に微量に含まれた塩素が肌への刺激になってしまうことがあります。

肌を刺激する塩素はビタミンCで減らすことができます。

一番風呂に入る際には、スプーン1杯分のレモン汁を入れることで塩素に対応できます。

入浴剤の成分としては、アスコルビン酸などの塩素を除去してくれる成分が含まれているものを選んで使うようにしましょう。

温泉系の入浴剤には硫黄などの肌の乾燥を招きかねない成分が入っていることがあるので、気をつけてチェックしてくださいね。

ちなみに2番風呂以降は、1番風呂の人の皮脂や汗などの有機物で塩素が除去されているため、そこまで過敏になる必要はないそうですよ。

入浴後のアフターケア

最後に肝心なのが、入浴後のアフターケアです。

入浴中の角質には、普段の約2倍もの水分が含まれています。

しかし、この水分はお風呂から上がって体を拭くと急激に減少していきます。
15分後には入浴前とほぼ同じくらい、さらに15分を過ぎると入浴前よりも水分が少なくなってしまうのです。

水分がなくなった肌にクリームなどでフタをしてしまうと、乾燥を悪化させかねません。
入浴後はできるだけ早く、角質に水分がたっぷりとのこっているうちに保湿のクリームを塗るようにしましょう。

肌がまだ少し濡れているくらいでクリームを塗ってしまって大丈夫です。

またフェイスケアを同じく、クリームを塗る前に化粧水を塗るとさらに保湿効果が上がります。

乾燥しがちなスネやかかと、手などにはクリームだけではなく、化粧水も取り入れたいですね。

保湿剤は皮膚の繊維に沿って塗るのが効果的です。

皮膚の繊維の流れは部位によって異なりますが、例えば、前腕・唇は縦方向、上腕・ひざは横方向です。

まとめ

入浴のポイントをまとめます。

  • 基本は35〜40度のお湯に15分以内
  • ヒートショックプロテインの為には、41度のお湯に10分を週に2〜3回
  • 体は洗いすぎず、ボディソープや石けんを使う場合は泡で優しく撫でるように
  • 入浴の際のお湯には、スプーン1杯のレモン汁や入浴剤で塩素対策
  • 入浴後はできるだけ早く保湿ケアを

どれもこれも、いつものお風呂にちょっとだけ気をつけるだけでできる乾燥対策です。

粉フキ肌や、乾燥痒み肌からの脱却を目指しましょう。