痛んだ髪・パサつき・薄毛など髪のトラブルの3大要因と解消方法

「髪」でお悩みの人は「肌」の次に多く、他人の目にもよくつく部位です。
髪にハリやコシがない、パサつき、まとまりなく広がる、ボリュームがない、薄毛・抜け毛・切れ毛・枝毛・白髪…など、髪に関する悩みは性別や年代別、季節など個人差があり、症状も人それぞれです。

髪の悩みごとに効く商品や、自分の髪質に合う商品は色々とありますが、どのお悩みにも共通している原因と改善方法をご紹介します。

髪の毛の仕組み

髪のお悩みを改善するために、まずは髪の毛の仕組みを知っておくことが改善への近道になります。

髪の毛が生え変わる仕組み

髪の毛は肌細胞のターンオーバーの仕組みと同じで、新しい髪の毛へとどんどん生え変わります。季節や年齢により個人差はありますが、健康的な頭皮であれば大体1日に80〜100本ほど髪の毛が抜け落ちます。そして新しく生え変わり、また抜けるまでに最長6年ほどかかります。
この、毛髪が成長して抜け落ちることを繰り返す周期を「ヘアサイクル」と言います。

髪の毛は、皮膚(頭皮)の外に出ている部分を「毛幹」、皮膚の内部に埋まっている部分を「毛根」といいます。毛根の付け根の「毛乳頭」が毛細血管から養分を獲て、毛乳頭にある「毛母細胞」がその養分をもとに細胞分裂を繰り返して髪の毛は成長していきます。
また、肌にシンデレラタイムと呼ばれるものがあるように、髪の毛にも成長に最適な時間帯があります。成長ホルモンの分泌が最も盛んになる、夜の22時〜夜中の2時の間が最適と言われています。この時間帯に睡眠をとっていることで、より快適にヘアサイクルしやすい環境になります。

髪の毛は「成長期」「退行期」で段々と成長して伸びていき、その後「休止期」で成長が落ち着いて抜け落ちます。この周期がなんらかの原因で乱れると毛乳頭が十分な養分を受け取れず、毛母細胞が成長不十分となって様々な髪のトラブルを引き起こします。

髪の毛のトラブルは、髪の成長過程における細胞分裂の周期の乱れが原因とも言えます。

髪の毛の3層構造とそれぞれの役割

毛髪自体の主な成分はタンパク質で、構造は外側から「キューティクル」「コルデックス」「メデュラ」と呼ばれる3層からなっています。

「キューティクル」は硬いタンパク質からなるウロコ状のようなもので、毛髪の内側の組織を守る衣のような役割をしています。

「コルデックス」は髪の毛の構造のほぼ全体を占めていて、繊維状のタンパク質からなっています。コルデックスに含まれる脂質や水分量、メラニン色素は個人によって差があり、髪質そのものになります。毛髪一本一本の太さの違い、猫っ毛っぽい、髪の色などの髪質が人それぞれになるのは、コルデックスによる個性といえます。

一番内側の「メデュラ」は柔らかいタンパク質からなっており、産毛や細い髪には存在しない場合があります。外部からの刺激によりメデュラがスポンジ状や空洞になる場合があります。そうすると毛髪が白っぽくなり、p白髪のように見えます。

髪のトラブルの主な3つの原因

ハリやツヤのある健康的な髪の毛でいるためには、ヘアサイクルが乱れることなく一定を保つことと、毛髪を作るのに十分な養分があることです。定期的に健康的な髪の毛に生え変わることで、おおよその髪のトラブルを防ぐことができます。
ヘアサイクルや毛髪の成長を妨げる主な原因は、「血流の低下」「ホルモンバランスの乱れ」「加齢」3つです。

血流の低下とは、頭や目、肩のコリや浮腫み、低血圧で血行が悪くなったり、ストレス、喫煙、運動・栄養・睡眠不足などから自律神経が乱れることによって起こる症状です。
血流が低下すると毛細血管の流れが滞り、髪を作るのに必要な養分が十分に毛母細胞へ行き渡らなくなります。養分が不十分だと成長の妨げとなり、毛根は痩せ細ってハリやツヤ、コシのない髪の毛となります。

ホルモンバランスの乱れは主に女性特有で、出産や更年期などの影響でホルモンの分泌が減少し、薄毛や抜け毛の原因となります。

加齢は、30代から徐々に毛母細胞の衰えやヘアサイクルが乱れて、毛髪が新しく生え変わっても養分が不十分な痩せ細った髪の毛ばかりになっていきます。そのため、ハリやコシのない、抜けやすい髪質になります。

意外と知らない!?髪にダメージを与える生活習慣

髪のトラブルは血流の低下・ホルモンバランスの乱れ・加齢の3大原因の他にも、普段の生活で気をつけなければならない生活習慣があります。

生乾き状態で放置は厳禁

髪の毛の「キューティクル」と呼ばれる外側の部分はウロコ状の組織が何層にもなり、内部の組織を保護しています。しかし、水で濡れるとウロコ状の部分(キューティクル)が広がる仕組みになっています。

髪が濡れたまま(キューティクルが広がった状態)放置すると摩擦などでキューティクルが剥がれ、内部のタンパク質や水分がどんどん外へ流れていきます。
キューティクルは一旦剥がれると再生することはありません。キューティクルがダメージされ続けると髪のハリやコシをなくし、パサつきの原因となります。

濡れた髪にタオルドライやドライヤーは、髪にとってダメージが大きいというイメージがあります。乾かす時に摩擦がかかるので、キューティクルが剥がれ落ちてしまいますが、自然乾燥しようと生乾き状態で放置しておく方がより大きなダメージを与えます。
タオルドライの時は髪の毛同士をなるべく擦らないよう、地肌からゆっくりマッサージするように行いましょう。
髪は熱さに弱いため、ドライヤーはなるべく髪の毛から離して熱くならないよう、地肌から毛先へ向かって満遍なく乾かしましょう。最後に冷風を全体的に当てるとキューティクルが整い、ツヤが出ます。
洗い流さないタイプのトリートメント剤を毛先につけてからドライヤーをすると、髪の毛内部の水分が保持されてより艶やかな仕上がりになります。

洗髪のやり方が美髪を左右する

ヘアカラーや白髪染め、パーマや縮毛矯正などは髪の毛や頭皮にとって大きなダメージになることは一般的に認知されていますが、私達が普段行っている洗髪も、髪の毛や頭皮にダメージを与えていることはご存知でしょうか?

髪の毛同士を擦るように洗うと、髪の表面のキューティクルが剥がれ落ちてしまいます。爪を立ててゴシゴシと洗うと、頭皮を傷付けてしまい必要な皮脂も落としてしまいます。
この積み重ねが、髪の毛の成長の妨げや頭皮や毛髪の乾燥を招き、ツヤやコシがなくなりパサついて痩せ細った髪の毛になります。
また、頭皮の汚れは毛髪の成長の妨げになるため、毛髪の成長時間が始まる前に洗髪してから睡眠をとるようにしましょう。

洗髪は、以下を注意するよう心掛けましょう。


  • 洗髪前に髪の毛をあらかじめ軽く梳かし、絡まりやホコリをとる
  • シャンプー前にぬるま湯(38度くらい)で十分に髪の毛を濡らす
  • シャンプーはよく泡立て、指の腹で頭皮をマッサージするように洗う
  • 髪の毛は擦り洗いせず、軽く泡を流すだけにする
  • シャンプー後もぬるま湯(38度くらい)で十分にすすぐ
  • トリートメント剤をつける場合、頭皮は避けて毛先だけに伸ばす

熱い湯で髪の毛をすすぐと、頭皮の表面にある皮脂が流れてしまい、頭皮・髪の毛の乾燥に繋がります。
また、洗髪で首回りや背中についたシャンプーやトリートメント剤は、残っていると肌荒れやニキビのもとになります。髪の毛だけでなく、体についたシャンプーなどもしっかり洗い流してください。

紫外線は美髪の天敵

紫外線と言えば、肌のシミやシワなどの光老化があります。頭皮や髪の毛も肌と同じように、紫外線からダメージを受けます。
頭は顔よりも影になる部分が少なく無防備状態であり、より多くの紫外線を浴びています。

頭皮は紫外線のダメージで肌組織が破壊され、頭皮を守る皮脂の分泌が減少し、乾燥化します。皮脂の減少でバリア機能が低下すると、頭皮はさらに紫外線のダメージを受け、炎症を起こしてかゆみやフケなどを発生させます。

髪の毛は、紫外線でキューティクルの部分が剥がれ落ち、髪の毛自体のタンパク質が壊され、水分が蒸発してパサパサと乾燥した状態になります。
髪の毛のメラニン色素にも影響を与え、だんだんと茶色っぽく変色します。さらに酷くなると、メラニン色素自体がぬけて白髪状態になります。

このように紫外線を浴び続けていると、ヘアサイクルが乱れて毛髪自体も痩せ細っていき、細い毛や抜け毛・薄毛状態になります。

頭皮や毛髪を紫外線から守るためには、日傘や風通しのいい帽子、UVスプレーなどでUV対策をしましょう。海やプール、よく汗をかく人には日焼け止めサプリがおすすめです。
同じ場所の頭皮にダメージを与えないよう、髪の分け目の位置を変えることもUV対策として有効です。

日焼けによって頭皮が炎症を起こした場合は、肌と同じように化粧水などを塗布することも有効です。分け目や生え際などは特に紫外線の影響を受けやすいので、その辺りを中心に頭皮を優しく揉み込むように塗布するようにしましょう。抗炎症のプラセンタや、保湿成分のヒアルロン酸やセラミドなどを配合したものがおすすめです。

ツヤとコシのある豊かな美髪を保つには

美髪を保つ条件は、「健康的な頭皮」「キューティクルのある髪の毛」の2点を守ることです。この2点を満たす条件は、以下になります。


頭皮は血行がよく毛穴の詰まりがなく清潔で、皮脂によるバリア機能で乾燥していない状態であること。
髪の毛の表面を覆うキューティクルは一度剥がれたら戻らないため、摩擦や熱い湯、紫外線などのダメージを避けること。


頭皮の血行がよくなるよう、頭のマッサージを定期的に行うことも有効です。眼精疲労や肩凝りなどで頭の血流が低下してしまう場合があります。指の腹で軽く頭皮を動かし、あまり動かない(頭皮がかたい)ようであれば柔らかくする(血行をよくする)よう、ゆっくり揉んでマッサージを行いましょう。

髪の毛は、ヘアオイルや洗い流さないタイプのトリートメント剤でキューティクルを保護することも有効です。しかし、髪の毛の根元や頭皮には直接付けないよう注意してください。オイルなどが毛穴に詰まると嫌な匂いを発生させたり、カビや細菌の増殖、ニキビの原因となります。

痛んだ髪・パサついた髪・切れ毛・薄毛などのお悩みは、髪質や年齢を問わず誰にでも、普段のお手入れを気をつけることで改善されます。サロンでのトリートメントやヘアケア用品・育毛剤・洗髪剤などの利用も有効ですが、それらと平行して普段のお手入れ方法を見直してみてはいかがでしょうか。