皮膚のバリア機能は何から守ってくれる!?スキンケアと健康の関係

肌のバリア機能

普段、皆さんが何気なく行っているスキンケアには、お肌だけでなく健康を守る効果があるって知ってますか?

人のお肌にはバリア機能があり、外部からのあらゆる刺激にバリアを張っています。
バリア機能が低下すると、皮脂の過剰分泌やニキビトラブルを引き起こしてしまうため、ニキビ対策や美肌を目的としてバリア機能に注目する人も増えてきています。

しかし皆さん、肌トラブルを回避するだけがバリア機能の役割ではありません。

『スキンケアとはお肌をキレイするもの』

そんな風に思っている方も多いかもしれませんが、スキンケアをすることで、私たちの体にはたくさんのメリットがあるのです!
スキンケアをすることで得られるメリットと、スキンケアの基礎知識について調べてみましょう!

お肌のバリアは何でできているの?

お肌の断面図(バリア機能)
そもそもお肌のバリア機能とは何でしょうか?
それを知るためには、皮膚の基本構造を知る必要があります。

皮膚は、肌表面から近い順に【表皮】【真皮】【皮下組織】という3つの層で構成されていて、それぞれに大切な役割があります。

【皮下組織】

皮膚の一番下にある皮下組織は、そのほとんどが皮下脂肪組織でできている、とても柔らかい層です。
外部からの衝撃をやわらげ、筋肉や内臓を守る働きをしています。

【真皮】

成分の約70%がコラーゲンでできている真皮は、お肌の水分を保つ役割を果たしています。
真皮に十分な水分が蓄えられることで、皮膚全体にハリや潤いが保たれるのです。

【表皮】

皮膚の一番外側にある表皮は、外界と直接触れる過酷な層です。
一番下の基底層でできた基底細胞は、分裂しながら表皮に向かって進んでいきます。
有棘層(ゆうきょくそう)、顆粒層、角質へと進んでいき、もっとも外側の角質に辿り着いた時には無核となり、外界からの刺激により剥がれ落ちる仕組みです。

バリア機能はどこにあるの?

お肌のバリア機能と呼ばれる性質は、主に表皮で行われる活動を指して言います。

表皮には、皮脂NMF(天然保湿因子)やセラミドなどの分泌物が存在しますが、これらの成分は互いに補い合い、絶妙なバランスで角化していきます。

この角化した成分が外界からの刺激を防いだり、真皮からの水分透過を防いだりすることから「バリア機能」と呼ばれているのです。

バリア機能と呼ばれている組織は、皮膚表面にたった0.02~0.03mmの厚みしかない極薄の組織なのです!

実は高性能!お肌のバリア機能

たった0.02mmしかないバリア機能ですが、一体何から私たちを守ってくれるのでしょうか?
外部から私たちを攻撃するお馴染みの刺激や、意外と知れていない健康の敵まで、お肌のバリア機能が果たしている役割を覗いてみましょう!

美肌の大敵!紫外線から守る!

紫外線は、言わずと知れた美肌の大敵です!
人間の体内にあるDNAは紫外線が直接触れると、損傷して障害を起こしてしまいます。
お肌のバリア機能は紫外線をブロックし、DNAのダメージを防ぐ働きをするのです。

乾燥に弱いお肌を守る!

お肌の内側にある真皮層には、大量の水分が保たれています。
この水分はお肌全体の弾力をつかさどるもので、お肌のバリア機能によって乾燥から守られています。

肌表面から入り込む雑菌から健康を守る!

お肌の機能くらいで健康を守れるなんて大袈裟!なんて、あなどってはいませんか?
実はお肌のバリア機能は、皮膚表面から侵入しようとする雑菌やウイルスを防ぐ頼れる存在です。
バリア機能が乱れてしまうと、感染症にかかるリスクも上がりますので注意しましょう!

お肌を過敏にするホコリから守る!

守られている時は気付きませんが、お肌はホコリが付いただけでも過敏に反応してしまいます。
特にホコリに含まれる花粉にはアレルギー物質が存在するため、お肌のバリア機能が乱れてしまうと炎症などのトラブルを引き起こしてしまします。

バリア機能はどうやってお肌を守っているの?

バリア機能を構成する成分には、それぞれお肌を守る働きがあります。
各成分の得意分野を活かしてお肌は守られているのです!

外界との最前線でがんばる皮脂膜!

皮脂膜とは、皮膚表面で皮脂が形成するバリアのことです。
油分(皮脂)で真皮に蓋をし、水分の蒸発を防ぐ働きをします。
油膜を張ることで皮膚表面の滑りを良くし、外界からの衝撃をやわらげる役目も果たします。
また、角質層が過剰に剥がれるのを防いだり、細菌やウイルスの侵入を防ぐのも皮脂膜のお仕事です!

汗や皮脂など、皮脂膜を構成する成分はすべて体内から分泌されています。
そのため皮脂膜はアレルギーを引き起こす心配がなく、天然の高級クリームとも言える存在です。
ただし洗浄力の強すぎるクレンジング剤や、力の強いゴシゴシ洗いには弱い成分でもあります。
スキンケアをする時は、皮脂膜が壊れないように優しく行なってください!

重なり合ってお肌をガード!角質層

角質層は、基底層で発生した皮膚細胞が無角化した、いわゆる死んだ細胞の集まりです。
皮膚の表面で10~20層ほど重なり合い、お肌を守ります。
角質層の主な役目は、紫外線や衝撃など外界からの刺激を防ぐ働きと、水分の蒸発や細胞の酸化など内側からの劣化を防ぐ働きです。

死んだ細胞がベースになっている角質層は、強くこすると剥がれ落ちてしまいます。
そのバリア機能が回復するまでには約24時間が必要と言われていますので、無理なピーリングなどで剥がし過ぎないよう注意しましょう。

天然の保湿成分、NMF

NMFとは「natural moisturizing factor」の略で、日本語では「天然保湿因子」と呼ばれています。
文字通り角質細胞の水分を保持する働きがあり、角質層を柔らかくて弾力のある状態に保ってくれます。

NMFはフィラグリン、ケラチンが結合した成分が素となり、タンパク分解酵素によって低分子化されたものです。
保湿力や吸収力が高く、一度吸収した水分を離しにくいのが特徴です。

ラップ効果で水分を守るセラミド

表皮の有棘層で分泌されるセラミドは、皮膚の水分透過を防ぎ、お肌を乾燥から守ります。
セラミドは角質細胞同士の隙間を埋める「角質間細胞」の主成分でもあり、角質間の水分蒸発を防いでくれます。
それによって角質が過剰に剥がれ落ちるのを防ぎ、水分を挟み込むことで外部刺激から皮膚を守る働きもしてくれます。

脂質が素になってできるセラミドは、オメガ3脂肪酸やオメガ6脂肪酸が不足すると生成されません。
そのため過度な油抜きダイエットやストレス、不規則な生活によって減少すると言われています。
セラミドが豊富なお肌を保つためには、バランスの取れた食事と十分な睡眠を心掛けてください!

バリア機能を保つ正しいお手入れ方法とは?

皮膚の一番外側でがんばるバリア機能は、とても薄くて繊細な組織です。
間違ったスキンケアをしてしまうと、たちまち機能が低下してしまいます。
ここでは正しい洗顔と保湿方法をご紹介しますので、バリア機能の正しいケア方法をマスターしてください。

お手入れの基本は洗顔と保湿

バリア機能を保つためには、お肌にダメージを与える洗顔方法はNGです。
以下の手順で、優しく洗いましょう。

①水またはぬるま湯を使い、汚れを軽く落とす(熱いお湯はNG)
②洗顔料をしっかりと泡立て、顔全体に優しく馴染ませる(ゴシゴシ洗いはNG)
③1分くらい泡で包んだら、水またはぬるま湯で優しく十分にそそぐ(シャワーを直接当てるのはNG)
④タオルで押さえるようにして水分を軽く拭き取る(ゴシゴシ拭くのはNG)

洗顔後にはしっかり保湿が欠かせません。
バリア機能と保湿は密接に関係していますので、お肌が乾燥することは絶対に避けてください。

美容と健康の基本!バランスの取れた食事

食生活でニキビケア

バリア機能の正常化に関わらず、バランスの取れた食事は体の基本です。
先ほどご紹介したNMFをはじめ、皮膚のバリア機能に必要な成分の素は食事から摂取されます。
過度な食事制限や偏った食生活は、美容と健康の大敵と心得ましょう。

規則正しい生活でバリア機能も向上!

食事と同様に、忘れてはいけないのが規則正しい生活習慣です。
睡眠不足や過度のストレスは、お肌のターンオーバーを乱す原因となります。
ターンオーバーの乱れたお肌はバリア機能も低下しますので、規則正しい生活習慣を身に付けましょう。

まとめ

皮膚のバリア機能は、お肌の調子を整えるだけではなく、感染症の防止にも役立つ大切な存在です。
バリア機能が低下するとニキビの原因となったり、乾燥肌などのトラブルも起きやすくなったりしますので、正常に保つことが大切です。
バリア機能の主な成分は皮脂由来のモノが多いため、過度な食事制限やストレスによって減少する可能性があります。
また、バリア機能は間違ったスキンケアでも壊れてしまう繊細な組織ですので、洗顔や保湿には十分注意しましょう。