肌を外的刺激から守るバリア機能は、皮脂膜・角質層・角質細胞間脂質・NMFの4つによって支えられています。
なかでも水分保持に深く関わるのが角質細胞間脂質、そしてその中心的役割を担うのがセラミドです。
セラミドは体内で生成されますが、誤ったスキンケアや加齢によって徐々に減少していく傾向があります。
その不足を補うには、セラミド配合の保湿剤など化粧品で外側からケアする方法に加え、食品から取り入れるという選択肢もあります。
米や大豆、ひじきなどの海藻類にもセラミドは含まれていますが、なかでも注目したいのが「こんにゃくセラミド」を豊富に含むこんにゃくです。
毎日の食事に取り入れやすく、内側からうるおいをサポートしてくれる心強い食材です。
こんにゃくに含まれるセラミドについて
セラミドといっても種類は非常に多様です。
その中で、こんにゃくに含まれるセラミドは植物由来のグルコシルセラミドと呼ばれる成分に該当します。
グルコシルセラミドは米や麦にも含まれますが、特にこんにゃくに多く含有されています。
肌の保湿に欠かせないセラミドを生成するための基盤となる成分であり、体内でのセラミド産生を支える重要な役割を担っています。
セラミドは角質細胞間に存在し、ラメラ構造を形成することで水分を保持します。
この働きによって肌のバリア機能が保たれ、外部刺激から守られています。
しかし、加齢や誤ったスキンケア、日常生活の中のさまざまな要因によってセラミドは失われやすく、水分不足が進行すると乾燥や敏感肌、炎症などのトラブルにつながる可能性があります。
グルコシルセラミドについては、継続して摂取することで肌の保水力が向上したという研究結果も報告されています。
しかも、経口摂取のメリットは顔だけにとどまらず、肘や脚など乾燥しやすい部位にも広く影響が及ぶ点です。
全身の乾燥対策として、食事から取り入れられる点は大きな利点といえます。
こんにゃくセラミドを効果的に摂取するために
こんにゃくに豊富に含まれるグルコシルセラミドを取り入れるには、どのような種類のこんにゃくを選ぶべきかが重要です。
一見どの製品でも同じように見えますが、製造方法の違いによって含有量に大きな差が生じます。
こんにゃくの製造方法は大きく二つに分けられます。
一般的なのは、原料となるこんにゃく芋を粉末に加工し、それを使って製造する方法です。
粉末状にすることで保存や供給が安定するため、市場に出回っている多くの製品はこの製法によるものです。
もう一つは、生のこんにゃく芋をすりおろして作る方法です。
手間と時間がかかるため流通量は多くありませんが、芋本来の風味が生きた味わい深い仕上がりになります。
グルコシルセラミドをしっかり摂りたい場合は、生のこんにゃく芋から作られた生芋こんにゃくが適しています。
生芋こんにゃくであれば、半枚から一枚ほどで一日に必要な量のグルコシルセラミドを補給できます。
雷こんにゃく、こんにゃくステーキ、おでん、煮物など、さまざまな料理に活用しやすい点も魅力です。
ただし、こんにゃくは食物繊維が非常に多いため、量を食べすぎるとかえって便秘の原因になる場合があります。
毎日継続して食べるのが難しい場合は、グルコシルセラミドを含むサプリメントなどを活用し、無理なく補う方法も選択肢として有効です。
セラミドを減らしてしまう食材について
グルコシルセラミドを摂取することで肌のセラミド量が増える一方で、反対にセラミドを減少させてしまう食品も存在します。
その代表例がリノール酸を多く含む食材です。
リノール酸はオメガ6系脂肪酸に分類され、体内で合成できないため食事から摂取する必要があります。
下記の油脂類がオメガ6系のリノール酸に該当します。
ごま油
ダイズ油
コーン油
グレープシードオイル
マーガリン ほか
リノール酸は肌の免疫細胞の働きを弱める作用があり、アレルギーやアトピー症状を悪化させやすい点に加えて、肌のセラミド減少にもつながる可能性があります。
セラミドは肌の健康維持に欠かせない成分であるため、その量が減ることは肌トラブルの連鎖につながります。
しかし、リノール酸そのものが完全に悪いわけではありません。
分解後にはセラミドの原料として役立つ側面もあります。問題となるのは、オメガ3系脂肪酸とのバランスです。
魚に多く含まれるDHAやDPAなどのオメガ3系脂肪酸が不足した状態でリノール酸ばかりを摂取すると、両方の脂肪酸が本来持つ力を十分に発揮できません。
現代の食生活は魚の摂取量が少なくなりがちです。
一方で、リノール酸を含む菓子類や揚げ物、パン、マーガリン入りのドレッシングなどは多く摂られやすく、結果として脂肪酸バランスが崩れ、セラミドの減少を招いてしまいます。
リノール酸を完全に避ける必要はありませんが、無意識のうちに過剰摂取になりやすいため、日常の食事内容を少し見直すことが大切です。
菓子の代わりにフルーツを選ぶ、揚げ物の頻度を下げる、ドレッシングをオリーブオイルと塩胡椒、レモン汁やビネガーで作るなど、できる範囲で調整していきましょう。
また、魚を食卓に取り入れる回数を増やすことで、脂肪酸バランスの改善にもつながります。
まとめ
こんにゃくは低カロリーで食物繊維やミネラルが豊富なうえ、セラミドまで含んでいる美容面で非常に頼もしい食材です。
季節に応じてさまざまな料理に使える点も大きな魅力で、冬はおでん、夏は刺身こんにゃくと一年を通して楽しめます。
形状のバリエーションも多く、パスタやサラダ、カルパッチョなど洋風メニューにも幅広く活用できます。
日々の食卓に無理なく取り入れられるため、継続的な美容ケアとしても最適です。
食事からのうるおいケアとして、今日の夕食にこんにゃくを取り入れてみるのも良いきっかけになります。
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