肌にうるおいを閉じ込める【ラメラ構造】で、乾燥知らずの肌を作ろう

健康な肌の角質層には水分がたっぷりと蓄えられています。

では、角質層はどうやって水分を蓄えているのでしょうか?

肌の水分を蓄える働き:ラメラ構造

水分はそのままにしておくと、すぐに空気中に蒸発して行ってしまいます。

水分が蒸発してしまわないようにするためには、「オイルで蓋をする」という言葉を聞きますが、
実は”蓋をする”というほど単純ではありません。

肌の角質層は角質が何枚にも重なって構成されていますが、
水分はその角質と角質との間にも蓄えられています。

角質の間に蓄えられている水分は、ラメラ構造と言われる水分と油分が
ごく薄いミルフィーユ状に重なった状態になっています。

ごく薄い水の層の上にごく薄い油の層、その上にまた水の層、油の層……と重なることによって
水分が角質から蒸発してしまうことを防ぐことができます。

また、角質と角質が容易に剥がれてしまわないように繋ぎとめておく役割も果たしています。

水と油が綺麗に重なりあったラメラ構造は、セラミドコレステロールなどでできており、
この角質間に蓄えられているセラミドなどでできたラメラ構造の成分を角質細胞間脂質と言います。

さらに、この角質脂質間細胞を支えるのは、NMF(Natural Moisturizing Factor)です。

NMFは角質内の水分に含まれており、日本語では天然保湿因子と言います。

NMFの主成分はアミノ酸で、その他ミネラル、乳酸塩や尿素などから構成され、
水分を保持して逃がさない役目を果たしています。

この、NFMがたっぷりと含まれた角質が、
角質間のラメラ構造をした角質細胞間脂質を支えることで肌の水分は保たれているのです。

この、ラメラ構造でできた角質間細胞脂質、角質層、角質内に含まれるNMF、
そしてそれらを覆う皮脂膜が肌のバリア機能と呼ばれ、肌を乾燥や異物から守ってくれています。

ラメラ構造が壊れるとどうなるのか

ラメラ構造が整っているということは、イコール角質層が整っているといっても過言ではありません。

角質層は、肌のなめらかさやうるおいを見た目や手ざわりから実感できる、肌の一番表層の部分。

この角質層が乱れていると、触った時にカサカサ、ゴワゴワとしたり、
見た目もパサパサとくすんだ不健康な肌に見えます。

また、ラメラ構造が壊れ、角質層がめくれ上がったりしてしまうと
肌内部の水分がどんどん蒸発して乾燥し、小じわなどに発展するほか、
雑菌などが肌内部に侵入しやすくなることで炎症(ニキビなど)が起こりやすくなってしまうのです。

ラメラ構造を生かした基礎化粧品

肌の健康を支える大切なラメラ構造は、様々な化粧品へと応用されています。

ラメラ構造で作られた化粧品のメリットは、肌へのなじみがいいこと。

ラメラ構造で作られた保湿剤は、肌のバリア機能と似た構造なので、
衰えたバリア機能を補ったり、バリア機能の代わりになってくれたりします。

また、ラメラ構造で作られたクレンジングは肌なじみが良く、肌への負担が軽くなります。

ラメラ構造のクレンジングにはジェルやバームなどあり、
最初はややかたい感触が、肌に馴染んで化粧汚れが浮くとさらっと軽くなり
落としやすくなるのが特徴です。

また、これらラメラ構造で作られている化粧品は
肌のラメラ構造を壊さないとも言われているので、結果的に角質層、
ひいては肌のコンディションを整えるのに適していると言えるでしょう。

肌のラメラ構造を守るためには

肌のラメラ構造は、角質層に水分を保持してくれるだけじゃなく、
細菌や化学物質から肌を守ったり、異物が肌に侵入するのを防いだりしてくれるので、
ラメラ構造を壊さない、またはラメラ構造を補うことが大切です。

ラメラ構造の構築に重要な成分はセラミドですが、セラミドの弱点は熱です。

例えばついつい長湯してしまう場合、40℃以上のお湯に5分以上浸かると角質がふやけ、
セラミドが流れやすい状態になってしまいます。

その状態を長く続けるとセラミドがお湯に自然と流れ出してしまいますし、
お湯から上がったとしても肌がふやけた状態でボディタオルなどでこすっても、
同じく角質層と共にセラミドも洗い流されてしまいます。

長風呂はなるべく控え、お湯の温度も40℃を越さない程度が望ましいでしょう。

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また、上記したような外的刺激や、加齢などでもセラミドは失われてしまうことがあるので、
失われてしまったセラミドは補うことが大切です。

セラミドが入っている保湿剤を直接、肌に塗布したりセラミドが含まれている食品から
経口摂取するのもいいですね。