“ホメオスタシス”って何?肌の自己回復力を高める神秘の組織!

恒温動物である人間は、寒い冬でも、熱い夏でも、体温を一定に保つことができます。特に考えることもなくできている体の働きですが、どうしてそうなるのか知っていますか?
寒い時は温かい服を身に付け、熱い時には薄着をして冷房にあたる。
現代人にとっては当たり前の行動ですが、それが体温を一定に保てる理由ではありません。

人間には体調を一定に保とうとする“ホメオスタシス”という機能が備わっています。
ホメオスタシスが働くことで体温は一定に保たれ、病気やけがをしても自然に“治そう”とし、常に健康な状態でいようとするのです。

ホメオスタシスって一体なに?


最近耳にすることの増えた「ホメオスタシス」と言う言葉は、主に美容用語で使われています。
スキンケアに敏感な方ならご存知かもしれませんが、美容初心者にはまだまだ耳馴染みが薄いかもしれませんね。
「ホメオスタシス」とはギリシャ語に由来し、“同一の”を意味する「ホメオ」と、“状態”を意味する「スタシス」が組み合わさってできた言葉です。
ホメオスタシスが指す“同一の状態”とは、環境が変化した時に生き物が外界の環境に適応する反応のことで、精神的・身体的に調和を取る仕組みのことです。

肌トラブル改善と密接に関係するホメオスタシス

外界との調和を取る働きをするホメオスタシスですが、人間の体の中でホメオスタシスが一番活躍している場所がお肌です。
お肌は体と外界の境目です。
外界の温度や湿度、環境の変化を察知し、適用しようと反応するのがホメオスタシスであり、その最前線がお肌なのです。

お肌の体積は、人体の中でもかなりのウエイトを占めています。
体重の約16%がお肌だと言われており、体重が50キロの人なら約8キロはお肌なのだそうです。
このことからお肌は“人体で最大の臓器”と呼ばれており、ホメオスタシスを保つうえで大きな役割を果たしています。

肌トラブルとホメオスタシスの関係

人体で最大の臓器であるお肌は、内臓環境の変化が顕著に現れる場所でもあります。
例えば腸のコンディションが悪く便秘になってしまうと、お肌にはニキビなどの吹き出物が出てしまいます。
バランスの悪い食事や不規則な生活を続ければ、乾燥やシワなどを引き起こしやすくなります。
トラブルを抱えたお肌はホメオスタシスの働きも低下するため、体調管理やスキンケアは欠かせません。

体のコンディションを一定に保つ機能であるホメオスタシスは、大きく分けて3つのシステムで構成されています。
自己回復力のために欠かせないホメオスタシスは、どのように私たちを助けてくれるのでしょうか?
ホメオスタシスが持つ3つのシステムを解説します。

ホメオスタシスのシステムその1:ホルモン


ホルモンとは、脳下垂体や甲状腺、副腎や膵臓など、体内の内分泌腺で作られる化学物質です。
体のさまざまな機能を調節し、作られる場所によって違う働きをします。
単体で活躍するホルモンもあれば、他のホルモンと助け合って働くホルモンもあり、ホメオスタシスにとっても重要な存在です。
ホメオスタシスと関係の深いホルモンを、いくつか挙げてみましょう。

女性らしさをつくるエストロゲン

卵巣から分泌されるエストロゲンは“卵巣ホルモン”とも呼ばれ、女性ホルモンの代表的な存在です。
エストロゲンはコラーゲンやヒアルロン酸の合成を促し、ハリのある美しい肌を作る働きをします。
また、動脈を拡げ血液循環を良くする作用もあり、ホメオスタシスを支える重要な役割を果たしています。
エストロゲンは月経が終わってから排卵までの期間に増加する傾向があります。

皮脂分泌を促すプロゲステロン

エストロゲンと並び、女性ホルモンの代表と言えるのがプロゲステロンです。
こちらは排卵から月経までの期間に増えるホルモンで、男性ホルモンのように皮脂分泌を増加させる働きがあります。
黄体期に増えることから、黄体ホルモンとも呼ばれています。
エストロゲンが増える時期は皮膚のバリア機能が低下するため、ニキビなどの肌トラブルが起きやすくなるので注意が必要です。

その他のホルモン

エストロゲンやプロゲステロン以外にも、お肌に影響を与えるホルモンがいくつかあります。
それぞれの特性を理解して、スキンケアに役立てましょう!

  • メラニン細胞刺激ホルモン

皮膚表面にあるメラノサイトを刺激するホルモンで、メラニン色素の生成を促す働きがあります。
メラニン細胞刺激ホルモンは紫外線などの外部的ストレスを受けたときや、妊娠・受注期に分泌量が増える傾向があります。
また、メラニン細胞刺激ホルモンの分泌量が増加するとメラニン色素が作られるため、シミの原因となる色素沈着を引き起こします。

  • 甲状腺ホルモン

成長や発育に作用する甲状腺ホルモンは、全身のほぼ全ての細胞に影響すると言われています。
甲状腺ホルモンは細胞の基礎代謝量を維持・促進し、エネルギーの生産量を増大する作用があります。
そのため、全身の新陳代謝が活発になると考えられています。

  • ストレスホルモン

ストレスホルモンとは、簡単に言うと「体をストレスから守ってくれるホルモン」です。
カテコールアミンとコルチゾールを総称して「ストレスホルモン」と呼ぶことが多く、その分泌量もストレスの程度によって変化します。

ホメオスタシスのシステムその2:自律神経


自律神経とは、内臓の機能を調節したり、中枢神経に内臓からの情報を伝達したりする“末梢神経”の一種です。
消化や排泄、呼吸や代謝といった体の働きをつかさどり、“交感神経”と“副交感神経”の2つによって構成されています。

ホメオスタシスは、この2つの神経バランスによって保たれています。

活動中に活発になる交感神経

交感神経は、人が起きて動き回っているときに活発になる自律神経です。
体内の各器官に働くよう指令を出したり、エネルギーを消費させたりします。
この交感神経は、緊張感や不安感、怒りなど、感情の変化でストレスを感じたときにも活発になる特徴があります。

睡眠中に活発になる副交感神経

副交感神経は、睡眠中やリラックスしているときなど、ひとの動きが穏やかなときに活発になる自律神経です。
交感神経によって働かされていた体の各器官を休ませ、エネルギーを保つ働きをしてくれます。

二つのバランスが乱れるとどうなる?

交互に働く交感神経と副交感神経には、理想のバランスがあります。
しかし過度のストレスや睡眠不足が続くと、交感神経が活発な状態が続き、双方のバランスは乱れてしまいます。
それはホメオスタシスの乱れを意味し、体内のあらゆる場所で不調が起こります。

ストレスや睡眠不足で乾燥肌やニキビなどの肌トラブルが起こるのは、ホメオスタシスの乱れで血行不良などの不調が起きているからなのです!

ホメオスタシスのシステムその3:免疫


体に良い食事の要素として「免疫力がアップする!」なんて表現をされることがあります。
免疫とは、私たちの体になくてはならない存在ですが、体内ではどんな役割を担っているのでしょうか?

免疫は体の最前線で戦う戦士だ!

免疫は、皮膚の表面や粘膜など、私たちの体が外界と接する最前線で働いています。
外界から侵入しようとする異物を排除し、体内環境を正常に保とうとする、ホメオスタシス界では戦士のような存在です。
免疫が正常に活動することで、私たちのからだは細菌やウイルスなどの抗原から守られているのです。

過剰になると

体のために敵をやっつける免疫ですが、ときどき暴走することがあります。
本来は体に良くない異物を排除するのが免疫の役割です。
しかし肌荒れなどでお肌のバリア機能が低下したときや、花粉が大量に飛散しているときなど、許容範囲を超える敵が侵入すると誤作動を起こしてしまいます。
その結果、抗原に対する反応が過剰になり、アレルギー反応などの症状が起こるのです。
実は免疫力を保つためには、スキンケアも欠かせない要素です。
花粉症は荒れたお肌から抗原が入り込むケースもありますので、目・鼻・口の防御に加えて、スキンケアにも気を配ってください!

最後に

ホメオスタシスとは体の機能を一定に保とうとする働きのことであり、ホルモンや自律神経、免疫などによって支えられています。
ホメオスタシスが乱れることは体内の不調を意味し、お肌にも大きな影響を及ばします。
また、スキンケアが行き届いたお肌は抗原の侵入を減らしてくれますので、免疫を低下させないためにも重要です。

お肌にホメオスタシスの働きを十分に発揮させたい時は、ストレスフリーとスキンケアを心掛けることがおすすめです!