健やかな肌を保つ力:ホメオスタシス(自然治癒力)

ホメオスタシスとは

ホメオは”同一の”、スタシスは”状態”を意味するギリシア語で、生き物が外界の環境の変化に対して、身体的/精神的に反応し、外界の環境との調和を図る働きのことをいいます。

簡単に言うと、どんなに冬が寒くても、人間の体温はだいたい36℃くらいを保ちますし、酸っぱいものをたくさん食べても、人間の血液は酸性にはなりません。

病気が治るなどもこのホメオスタシスによるものです。

風邪をひいて熱が出たり、転んで怪我をしてしまったりした時に、体が自分で健康な時の状態に戻ろうとする力といえばわかりやすいでしょうか?

美しい肌の維持にも、このホメオスタシスが大きく関係しています。

生体のホメオスタシス

人間にはホメオスタシスが備わっています。ホメオスタシスがあるということは、外部環境の変化に対応して調節していく仕組みがあるということです。

この仕組みには大きく分けて免疫・自律神経・ホルモンの3つがあります。

免疫

免疫とは、体内で「抗体」と呼ばれるタンパク質を作り、外部の様々な異物(抗原)が入ってきた時に異物を異物として区別し、排除して内部環境を守ろうとする仕組みのこと。

肌にも免疫システムはあり、外部の細菌やウイルスの侵入を防ぐ役割を果たします。

一方で、傷や乾燥・肌荒れなど肌のバリア機能が低下すると、抗原が侵入しやすくなったり、過剰に抗原に反応してしまうため、肌荒れやアレルギー反応などが起こりやすくなってしまいます。

 

自律神経

自律神経は、循環・吸収・消化・排泄・代謝など、生命活動を司る神経です。

自律神経には「交感神経」と「副交感神経」の2つがあり、この2つの神経のバランスによってホメオスタシスが保持されています。

  • 交感神経……体内の器官を働かせ、エネルギーを消費させる神経。

日中活動している時に活発になり、ストレスや感情の高まり、緊張感や不安・怒りなどが時生じた時にも活発になります。

  • 副交感神経……体内の器官を穏やかな状態に戻し、エネルギーを保持する神経。

リラックスしている時や、眠っている時に活発になります。

ストレスや睡眠不足などで交感神経が活発な状態が続くと、肌の血行が悪くなり、肌荒れや乾燥肌(ドライスキン)になってしまいます。

自律神経はストレスに敏感な神経です。

交感神経と副交感神経はバランスよく働かせることが良いとは言われていますが、何かとストレスの多い現代社会。
イライラや緊張で交感神経だけが活発になってしまい、副交感神経の出番があまりなかったかも、という人も多いのではないでしょうか?

そんな人は、できるだけ意識的にリラックスできる時間を設けたり、睡眠をしっかりと摂ることで副交感神経を働かせることが肌トラブル回避の第一歩になります。

ホルモン

ホルモンとは、身体のいろいろな細胞から他の細胞に働きかけ、その細胞のもつ機能を高めたり弱めたりすることで体内の機能を調節する物質と考えられています。

ホルモンにはその役目によって様々な種類がありますが、それぞれが単体で作用したり、密接にかかわりあって作用したりと複雑です。

女性の場合、中でも特にお肌の状態に関係があるホルモンが、卵胞ホルモン(エストロゲン)と、黄体ホルモン(プロゲステロン)です。
卵胞ホルモンには動脈を拡張する作用があり、肌の血液循環を良くしてくれます。また、男性ホルモンと拮抗する作用があるため、肌の油っぽさを抑えたり、ニキビの治療にも使用されます。

卵胞ホルモンは月経直後から排卵までの間に分泌が活発になりますが、排卵後、空になった卵胞は黄体に変わり、黄体ホルモンが分泌されます。
卵胞ホルモンと違い、黄体ホルモンには男性ホルモンに拮抗する力がないため、月経前に肌荒れやニキビなどの肌トラブルが起こりやすくなる一因とされています。

黄体ホルモンは排卵後から月経前のほか、妊娠中にも分泌され、肌の状態を不安定にし、アレルギーやうっ血、目の周りのクマなども目立ちやすくなります。

この排卵後から月経前の期間は、肌が敏感になっていることがありますので、新しくお化粧品を試したりするのは控えたほうが賢明です。

その他の、肌の状態に関係あるホルモンには、

  • ストレスホルモン……抗ストレス作用がある。

ストレスの程度によって分泌量を変化させ、生体をストレスから守る。

一般にカテコールアミンとコルチゾールを総称して呼ぶ。

  • メラニン細胞刺激ホルモン……表皮にあるメラノサイトを刺激してメラニン色素の生成を促す。

紫外線やストレス、妊娠・授乳時に分泌量が増加し、色素沈着の原因にもなる。

  • 甲状腺ホルモン……発育や成長、肌をはじめとする全身の新陳代謝を活発にする作用を持つ。

 

などがあります。

ホメオスタシスと肌

ホメオスタシスとは外界の環境との調和を図る働きといいましたが、人体の中でも特に肌はホメオスタシスの保持と密接に関係しています。

肌は外界との境界となっており、体重50Kgの成人なら重さはなんと約8Kg(体重の16%・約1.6㎡)にも。「人体で最大の臓器」とも言われいます。
体温の調節や肌独自の免疫細胞*など、外部環境の様々な変化に対して、体内の状態を一定に保つホメオスタシスの最前線で活躍してくれているのが、肌なのです。

肌は「内臓の鏡」とも言われ、胃や腸の調子が悪いと吹き出物ができたりと、すぐに皮膚に反映されます。

外界からの刺激を化粧品(基礎化粧や日焼け止めなどを含む)を使って守るのは当然ですが、心身の健康が肌の美しさを生み出すことを十分に理解する必要があります。

*肌独自の免疫細胞として挙げられるのが、ランゲルハンス細胞。外界からの異物の侵入を防ぎ、紫外線や乾燥などで起こる肌の炎症を鎮静化してくれる

 

まとめ

肌本来が持つ、健康な状態に戻ろうとする自然治癒の力、ホメオスタシス。

ホメオスタシスを正常に働かせるためには、まずは日々のストレスを溜め込まないことが重要です。

リラックスを心がけることで副交感神経を高め、交感神経とのバランスをとりましょう。

就寝前には電子機器の使用を控えたり、入浴して体を温めたりすると副交感神経が高まり睡眠の質が高まります。

また、規則正しい生活を心がけると免疫力が高まり、ホルモンバランスが整うので、健康な状態の肌を維持することが期待できます。