肌がカサつく、粉をふく、スキンケアがなじまない。
そんな乾燥トラブルが続いている場合、肌表面では角質肥厚と呼ばれる変化が起きている可能性があります。
角質肥厚が進むと、肌は必要以上に厚く硬くなり、ゴワつきやキメの乱れが目立つ状態に。うるおいを与えても浸透しにくく、乾燥を繰り返しやすい悪循環に陥ってしまいます。
では、肌の内側では実際に何が起こっているのでしょうか。
角質肥厚の仕組みと肌への影響、そしてなめらかな肌を取り戻すための正しい対策について、順を追って解説していきます。
角質肥厚とは?
角質肥厚とは、古くなった角質が肌表面に蓄積し、うまく剥がれ落ちずに固まってしまった状態を指します。
角化症や角皮症と呼ばれることもあり、乾燥やゴワつきの原因となる肌トラブルのひとつです。
本来、健康な肌は約1か月弱の周期で新しい細胞へと生まれ変わっています。
この肌の生まれ変わりの仕組みをターンオーバーといい、肌の内側で作られた新しい細胞が徐々に表面へ押し上げられ、古くなった細胞は垢となって自然に剥がれ落ちます。
このサイクルが正常に保たれていることで、肌は柔らかく、うるおいのあるなめらかな状態を維持することができます。
ところが、加齢や乾燥、摩擦などの影響でターンオーバーが乱れると、古い角質が剥がれ落ちずに角質層にとどまり続けます。
その結果、皮膚は徐々に厚く硬くなり、乾燥してゴワゴワ・ガサガサとした触感へと変化していきます。
おでこや小鼻のザラつき、あごのゴワつき、顔全体のくすみが気になる場合はもちろん、肘や膝、かかと、足の裏などが硬く感じるときも、角質肥厚が起きている可能性があります。
また、無意識に肌をこすったり掻いたりする習慣があると、肌表面に粉をふいたような状態になりやすく、これも角質肥厚の初期サインのひとつです。早めに気づき、正しいケアを行うことが大切です。
角質肥厚が引き起こす肌トラブル
角質肥厚が起こると、まず肌の見た目に変化が現れます。
肌表面が硬くゴワつき、ガサガサとした質感になり、透明感が失われてワントーン暗くくすんだ印象に。
肌全体が老けて見えやすくなります。
さらに進行すると、小じわが目立ったり、色素沈着を起こしたような状態になることもあります。
角質が厚くなることで肌表面は慢性的に乾燥しやすくなり、毛穴が引き締まらず開いたままの状態に。
開いた毛穴には汚れが溜まりやすく、黒ずみ毛穴の原因にもつながります。
また、皮膚が厚く硬くなることで、スキンケアの浸透にも悪影響を及ぼします。
化粧水や乳液、クリームなどが肌になじみにくくなり、本来の効果を十分に引き出せなくなってしまいます。
肌表面のゴワつきは、メイクの仕上がりにも直結します。
ファンデーションがムラになったりヨレやすくなったりするほか、チークがきれいに発色せず、化粧崩れもしやすくなります。
さらに角質肥厚を放置すると、肌トラブルは深刻化していきます。
乾燥した状態ではターンオーバーが正常に行われず、古く硬い角質が肌表面に蓄積する悪循環に陥ります。
その結果、顔のたるみやくすみ、深いシワやシミ、ニキビ跡など、年齢サインを加速させる原因にもなりかねません。
角質肥厚になる原因は?
角質肥厚は、乾燥肌やターンオーバーの乱れと深く関係しています。
乾燥によって肌のターンオーバーが乱れると、古い角質が剥がれ落ちにくくなり、肌表面に蓄積して角質肥厚が起こります。
さらに角質肥厚が進むことで肌はより乾燥しやすくなり、ターンオーバーは正常に働かなくなるという悪循環に陥ります。
では、角質肥厚はどのような要因で引き起こされるのでしょうか。
主な原因として、次のようなものが挙げられます。
・季節や季節の変わり目、空調による乾燥
・紫外線による日焼けや雪焼け
・肌を掻く、強くこするなどの摩擦
・花粉やホコリなどの外的刺激
・過度なピーリングやスクラブ洗顔、角質削り
・加齢による新陳代謝の低下
乾燥や紫外線、摩擦などの刺激を受けると、肌本来が持つバリア機能が低下し、内部の水分が蒸発しやすくなります。
その結果、肌は乾燥し、角質肥厚を引き起こしやすい状態になります。
また、ピーリングやスクラブ洗顔、かかとの角質削りなども、方法や頻度を誤ると逆効果です。
角質を削った直後は、肌がなめらかでツルツルとした触感になりますが、やり過ぎると未成熟な細胞が肌表面に現れてしまいます。
これらの未熟な細胞は、バリア機能や保水力が十分に備わっておらず、乾燥や肌トラブルを招く原因となります。
さらに、加齢によって体内の新陳代謝が低下すると、肌のターンオーバーも遅れがちになります。
その結果、古い角質が蓄積しやすくなり、角質肥厚が進行します。
年齢とともにシミやシワが増えやすくなる背景には、この角質肥厚も大きく関係しています。
角質肥厚を改善するには

角質肥厚をそのままにしておくと、肌のターンオーバーはさらに乱れ、古い角質が何層にも重なっていきます。
その結果、肌表面は硬くゴワつき、化粧水や美容成分が浸透しにくい状態になります。
保湿が十分に行われないと新しい皮膚細胞の生成も滞り、乾燥と角質肥厚が進行する悪循環に陥ってしまいます。
この悪循環を断ち切るためには、不要な古い角質をやさしく取り除きながら、保湿を重視したスキンケアを行うことが重要です。
ここでは、角質肥厚の進行状態別に改善方法を見ていきましょう。
肌表面が粉をふいたような状態
顔や腕、脚などがカサカサと粉をふいたように見える場合は、角質肥厚の一歩手前の段階です。
肌内部の水分不足が主な原因ですが、まだ皮膚は比較的柔らかく、化粧水などの水分が浸透しやすい状態といえます。
これ以上悪化させないためにも、早めに十分な保湿ケアを行いましょう。
化粧水で水分を与えた後、保湿クリームで蓋をするようにケアすると、水分の蒸発を防ぎやすくなります。
オーガニック系のオイルは水分保持をサポートするため、肌が敏感な方や乳幼児にも向いています。
肌表面がゴワゴワ・ザラザラしている状態
肌の触感がゴワゴワ、ザラザラしているものの、まだ皮膚自体が極端に硬くなっていない場合は、ターンオーバーが滞り、古い角質が溜まり始めている状態です。
特に夏の終わり頃に多く、おでこやあご、小鼻などに現れやすい傾向があります。
比較的軽度ではありますが、角質肥厚の初期段階のため、角質ケアには注意が必要です。
洗顔・体の洗い方を見直す
角質肥厚を悪化させないためには、日々の洗顔や体の洗い方が重要なポイントになります。以下の点を意識しましょう。
・すすぎは熱すぎない、人肌程度の温度で行う
・ゴシゴシこすらず、たっぷりの泡でやさしく洗う
・洗う時間は短めにし、泡残りがないよう十分にすすぐ
・拭くときは毛足の長いタオルで押さえるように水分を取る
肌表面の皮脂は、水分の蒸発を防ぐバリア機能の役割を担っています。
熱いお湯や強い摩擦は、古い角質だけでなく必要な皮脂まで奪ってしまうため注意が必要です。
保湿ケア前に行いたいひと手間
洗顔や入浴後の肌は、最も乾燥しやすい状態です。
正常で柔らかい肌であれば、保湿成分はスムーズに浸透します。
しかし、角質肥厚によって肌が硬くなっていると、十分な保湿を行っても効果を感じにくくなります。
そこで、保湿ケアの前にふきとり化粧水やブースター化粧品、美顔器によるクレンジングを取り入れるのも一つの方法です。
通常の洗顔では落としきれない古い角質や皮脂、毛穴汚れを除去し、肌表面を柔らかく整えることで、保湿成分の浸透性が高まります。
ふきとり化粧水は、コットンにたっぷり含ませ、ゴワつきが気になる部分に軽く叩くように使用します。
強くこすったり、乾いたコットンで何度もふき取るのは避けましょう。
美顔器を使用する場合は、毎回行う必要はありません。
使い過ぎると肌への負担となり、たるみやシワの原因になることもあるため、必ず使用方法と使用頻度を守りましょう。
表面が固く角質化している状態
肘や膝、かかとなど、摩擦を受けやすい部位が硬くなり、色がくすんでガサガサしている場合は、洗い方や保湿ケアだけでは改善が難しいことがあります。
このように皮膚が角質化している場合は、ピーリングや角質ケアによって古い角質を取り除く方法も有効です。
ただし、削り過ぎには十分な注意が必要です。
一度で柔らかい皮膚が出るまで行うのではなく、少しずつ様子を見ながらケアしましょう。
未成熟な角質は保水力やバリア機能が不十分なため、過度に削ってしまうと乾燥が進み、皮脂分泌のバランスが崩れるなど、さらなる肌トラブルを招きます。
その結果、乾燥とターンオーバーの乱れが続き、角質肥厚を繰り返す悪循環に陥ってしまいます。
セルフケアに不安がある場合は、医療機関やエステで施術を受けるのも選択肢の一つです。
また、角質ケア後は必ず十分な保湿と紫外線対策を行い、肌を守ることが大切です。
角質肥厚を予防するために大切なこと
角質肥厚を防ぐためには、特別なケアを行うよりも、日々の積み重ねを大切にすることが重要です。
まずは、毎日のスキンケアや生活習慣を見直すことから始めましょう。
洗顔・体の洗い方を見直す
顔や体はゴシゴシこすらず、たっぷりの泡でやさしく洗うことを心がけましょう。
洗い過ぎは必要な皮脂まで奪い、乾燥や角質肥厚を招きます。
洗顔や入浴後は、柔らかいタオルで押さえるように水分を取り、摩擦を与えないことも大切です。
普段のお手入れや美容面
紫外線は一年を通して肌に影響を与えます。外出時は季節を問わず紫外線対策を行いましょう。
乾燥を感じたら、化粧水や美容液でしっかり水分を補い、その後クリームやオイルで保護することで、水分の蒸発を防ぎます。
ピーリングや角質ケアは必要以上に行わず、肌状態に合わせて適切な頻度を守ることが重要です。
日常のスキンケアで意識したいポイント
紫外線は一年を通して肌に影響を与えます。外出時は季節を問わず紫外線対策を行いましょう。
乾燥を感じたら、化粧水や美容液でしっかり水分を補い、その後クリームやオイルで保護することで、水分の蒸発を防ぎます。
ピーリングや角質ケアは必要以上に行わず、肌状態に合わせて適切な頻度を守ることが重要です。
生活習慣を整えることも肌ケアの一部
肌のターンオーバーは、生活習慣の影響を大きく受けます。暴飲暴食を控え、栄養バランスの取れた食事を意識しましょう。
起床時や入浴後など、水分が不足しやすいタイミングでのこまめな水分補給も大切です。
十分な睡眠をとり、喫煙や過度なストレスを避け、規則正しい生活を心がけることが、健やかな肌づくりにつながります。
生活リズムが乱れると、肌荒れやくすみ、シミやシワが目立ちやすくなることがあります。
これらは、ターンオーバーの乱れによる角質肥厚のサインである場合も少なくありません。
角質肥厚を予防することは、乾燥肌だけでなく、シミやシワ、ニキビ、くすみなど、さまざまな肌トラブルの予防にもつながります。
日頃から肌をいたわり、柔らかくうるおいに満ちた、健やかな肌を目指していきましょう。


